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その穴を埋めるかのように明里さんが盛り上げてくれ、それに彼女が相づちを打つ。
「じゃあ、俺は先に帰るから……」
ここに来てまだ10分あまり。
何の前触れもなく突然、竹林さんがそう言い席を立つと気を利かせてか明里さんもつられる様に席を立った。
―――やっと少しは落ち着けるな……
そう思った矢先、彼女が明里さんの服の端を掴み止めにかかる。
「私も帰って二人の方がいいですよね」
少し困った顔をして彼女を見ると俺に訊ねてきた。
―――答えに困る。
正直ちょっと二人だけで話してみたいところだが、「その方が良いです」なんて明里さんを邪険にしているみたいで言い難い。
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