PROLOGUE

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 どこかでギャアギャアと鳴き喚く鳥の声が響き渡る。  うっそうと茂ったジャングルの草木は天まで覆い隠してしまいそうな勢いがある。  比喩ではなく、本当に生命力が強いのだろう。カンカンに照り付ける太陽の光でさえ、旧い密林の中までは届かない。  それでも微かに届く陽の光を頼りに、地面に生い茂る栄養満点の草をモソモソと食べている生き物がいる。  ケルビと呼ばれる小鹿のようなモンスターは、番いで仲良く主食である美味しい草をゆっくりと味わいながら食べていた。  モンスターといっても、ケルビは草食種に分類される無害な生き物だ。  しかしそれとは逆に、凶暴な肉食種も存在する。  だがケルビ達は心底安心して食事に勤しんでいた。  そこかしこに草を生やしているこの土地は、このケルビにとっては食物の宝庫と言える。  この時間帯であれば、凶暴な肉食獣は縄張りの見回りはしない。  二匹のケルビが安心して食事をしている時だった。  突如叢から二つの青い影が飛び出し、ケルビたちの前に立った。  ギョロリとした眼で獲物を睨む突然の襲撃者は、青い鱗を体に纏い鋭い爪で獲物を威嚇する。
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