第二章

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 その後は原田さんと井上さん、山南さんが、今後の処理や葬儀の段取りなんかを話していたような気がする。  気がするだけだ。  なにしろそんな俗っぽい話には全く興味がわかず、ぼんやりと眺めていただけだから。 『これって夢やんな。何で夢やのに事後処理とか面倒なシーンがいる訳?  そりゃ、若い(井上助勤は除いて)結構な男前さんが勢揃いで、しかも歴史的人物のオンパレード、目の保養にはなるけどさ……  それにしたって……こんなシーン、省こうよ』  と、自分の夢にいちゃもんをつける。  その上、あたしというか、あたしの中にある沖田としての気持ちが、昨晩のお梅殺しを未だ吹っ切れていなかった。 『なんか、こんな具体的な話にはついて行かれへん』  だから、あまり皆の会話は聞いていなかった。 「おい!総司、聞いているか?  おめえには菱屋へ行ってもらうぞ」  土方に声をかけられ、意識をこちらに戻す。 「……お梅さんの死を知らせに行くんですよね」  わかり切った事だ。菱屋はお梅の亭主の店なのだから。
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