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私はカップを洗い終わると冷蔵庫から缶ビールを2本取りだし、リビングに向かった。
そしてソファに座りぼんやりとテレビを見ているコウに「おつかれ」と言い1本差しだした。
「ん」
コウはビールを受け取ると私が座りやすいように隣を空けてくれた。
私は隣に座るとビールを喉に流し込む。
ビールが喉を通っていく感じがたまらない。
「あぁ美味しい」
そう言うとソファの背もたれに頭をのせ天井を見上げた。
疲れたのか頭がぼんやりしてくる。
しばらく天井を見上げていると隣からコウの視線を感じた。
「なぁミウ」
「ん?」
私は短く返事をするとコウを見た。
コウは私と目が合うと優しく微笑みながら言った。
「今日はありがとうな」
その顔は田中さん達がいた時のような無愛想とは違い、優しさで溢れている。
私はコウの微笑みを見ていると優しい気持ちになってきた。
…そうだよ。この表情だ。
他では見せない、私だけに向けてくれる微笑み。
この表情を見ていると心が癒され疲れもなくなる。
だからコウの為だったら頑張れる。
だって私は…。
「妻だもん。当然でしょ」
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