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バーベキューもミウの会社の社長の締めの挨拶で終り、皆がわらわらと帰っていく。
じゃあ俺達も帰るか?とミウに声をかけようとしたが、隣にミウの姿が見えない。
きっと荷物を取りに行ったのだろう。それともトイレか?
まぁここにいてもしょうがないし、荷物置き場まで行ってみるか。
俺は少し離れた荷物置き場に向かって歩き出した。
荷物置き場につくと、もう荷物は1つもなく当然ミウの姿もなかった。
ここじゃないのか?すれ違ったか?
荷物がないって事はここにはもう来ないよな。
それにミウの事だ、俺を探さずに解散したところで待っているだろう。
俺はクルっと振り返り、さっきいた所に戻ろうとすると突然声をかけられた。
「小林さん!!」
その声につられるように振り向くと池上さんがいた。
正直名前が当たっているが自信がないが、この人の顔を覚えている。
準備をしている時にやたらと話かけてきたし、この人が元カレをふった人だもんな。
「ん?あ…池上さんだっけ?」
「覚えてくれたんですね。嬉しいなぁ」
「さっき話したから」
「うふふ。じゃあ約束も覚えてますよね?」
池上さんは上目づかいで俺を見ると口角を上げ、甘ったるく言った。
その顔はいかにも俺を誘っているのがよくわかる。
でも約束が俺には何の事だかさっぱりわからない。
「えっ?何の事?」
「またぁ。とぼけちゃって。あの…良かったら連絡先教えてもらってもいいですか?」
「連絡先?俺の?なんで?」
「これからも連絡が取れるようになったら嬉しいなって思って」
そう言うと池上さんはニッコリと微笑んだ。
その顔は俺がもう落ちていると思っているのか勝ち誇っているようにも見えた。
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