不安の足音

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綺麗なコウの顔が真っすぐに私を見ている。 ただ顔を見ているだけなのにその瞳は私を心の中を捉えようとしているようで。 私は胸がドキドキして顔が赤くなっていくのを感じていた。 でもドキドキしているなんてコウに気づかれたくない。 だから私はコウに気づかれないように話題を変える事にした。 「そ、そんなに飲んでないって。でもさっきも会ったのにまた会うなんて凄い偶然だね」 「偶然じゃねーよ」 「えっ?」 「帰ろうとした時におまえのメールに気がついてさ。ここで会えるかなって思って」 「もしかして待っててくれた?」 「たまにはいいだろ?」 コウは微笑みながら言った。 「…うん」 私はコウの笑顔と待っててくれた事が嬉しくて素直に頷いた。 するとコウは「ほら行くぞ」と言い、歩き出すと振り返り私を見ながら言った。 「なあ。俺、飯まだだからラーメン食って帰るけどお前どうする?」
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