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「すいません」
トイレを出て2、3歩いた所で後ろから男性に声をかけられた。
その声には聞き覚えがないから自分の事ではないと思ってたけど…。
どう考えてもここには私とその人しかない。
私は恐る恐る振り向くと、そこには見覚えのある人がいた。
…あ…受付にいた人だ。
この人はアイドルみたいにカッコいい顔をしているからよく覚えている。
スッキリとしたフェイスラインに目鼻立ちの整った顔。
軽くパーマがかかった限りなく黒に近い茶色い髪。
その人は爽やかな笑顔で私を見ている。
…でもなんで?この人が私に声をかけるの?
今日初めて会った人なのに。
私は声をかけられた理由がわからなくて戸惑っていた。
するとその人は私の目の前にハンカチを差し出しながら言った。
「落ちましたよ」
目の前に差し出されたハンカチにも見覚えがある。
…あ。私のだ。
さっき手を拭いた後にバックにしまったはずなのに落としていたみたいだ。
「ああ…すいません」
私はそう言うとハンカチを受け取るとバックに入れた。
そして一礼をするとコウの元へと戻ろうとしたけど…。
でも私はその人が気になってその場を離れる事が出来なかった。
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