コウの夢

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マンションのエントランスに着くと私は備え付けのベンチに座ってコウを待った。 いつもは人の出入りが多いエントランスもさすがにこの時間になると誰もいない。 ただ明りだけが点いていて、物音ひとつでも大きく響き渡る。 そして誰もいないせいか、まるで外にいるかのように寒い。 ここは室内になんだけどなぁと思いつつ、あまりにもの寒さに私は縮こまっていた。 すると自動ドアが開いたかと思うと男性の人影が見えた。 その人は私を見るなりベンチに向かって歩いてくる。 「ミウ」 コウはベンチの前で止まると私の名前を呼んだ。 久しぶりに見るコウは相変わらずのいい男で。 その顔は優しく微笑んでいて私の胸をキュンとさせる。 …やっと会えた。凄く嬉しい。 「おかえり」 私は会えた嬉しさからコウにとびっきりの笑顔を見せた。 コウも私の笑顔に応えるかのように微笑んでいる。 「ただいま」 そう言うとコウは私に手を差し出した。 私はその手を握ると強い力で引っ張られて立ち上がる。 するとコウは私の全身を見ながら呆れた顔をした。 そしていつもの意地悪コウが降臨する。 「おまえ…そんな格好で出てきたの?」 コウはそう言うと「ククッ」と笑った。
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