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――温かくて、いいニオイがする。
大きくて筋肉質なガッシリとした身体の中に小さく埋もれた
微かなフレグランスの香り
しかし、だんだんと怒りがこみあげてきた
「……やめてよっ」
亮の身体を両手ではねのけた
「何なのよ?
お前、
お前って!
あたしはアンタのことなんて何にも覚えてないから!」
溢れ出した感情と共に、瞳からは涙がポロポロと溢れていた
「アタシはアンタの事なんて、好きでもなんでもないっ……」
――違う……
最後まで言い切る前に、亮に再度抱きしめられた
「好きじゃなくてもいい…
嫌いでもいいから
俺の側にいてくれ……」
切ない声
……違う…
…私は貴方が好きなんだ……
…でも……
貴方は私を好きなんじゃない………
――貴方は
今、
ここにいる私を見てない
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