cp3 異形の者

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「分かりました。じゃあ姉さんたち、ちゃんと着いてきてよ?」 二階堂が先頭に立って校舎の外に出る。外は既に夕陽で朱く染まっていた。早く戻らないと危険だ。 「結城さん、暗くなってしまう前に戻りましょう。夜の闇は危険ですよ。」 「二階堂くんの言うとおりだ。みんな、悪いけど急いでくれ。」 その時だった。先頭を歩いていた二階堂が突然、血を吹き流して倒れた。一瞬の出来事に、二階堂の後ろを歩く四人も、そして倒れた二階堂自身も状況がよく掴めていなかった。 「芳樹!」 「二階堂さん危ない!」 結城が身を挺して、更なる犠牲者を出すのを止めた。倒れた二階堂のすぐ前に、上陽高校で遭遇した謎の怪物が居た。 「くっ…なんで…なんでまたお前が!」 結城が怒りに任せショットガンを一発撃った。細かな散弾が、怪物に襲いかかる。しかし、やはり怪物に散弾は届かない。銃弾が放たれてから避けることができるのだ。まさに驚異の運動能力だ。 「この怪物は俺がなんとかする!詩織、二階堂くんを頼む!」 詩織は萌華とともに、二階堂の身体をできるだけ怪物から離れた場所に運んだ。 「芳樹…芳樹…お願いよ…何か言って…。あなたまで私を置いていってしまうの…?」 二階堂の家族は皆アンデッドに殺されてしまっているのだ。ちょうど家に居た姉弟たちの親が、アンデッドたちに殺害され、喰われたのだった。
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