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「さて化け物。俺が二階堂くんの敵討ちをしてやる。そこを動くなよ?」
結城はショットガンの銃口を怪物に向けながらゆっくり近づいていく。できれば一発で仕留めたい。さっき撃ったせいもあり、徐々にアンデッドのうなり声が近づきつつあった。
「さっさと終わらせないとまずい…。」
怪物が結城目掛けて跳ぶ。それを避けずに迎え撃つ。怪物の隙だらけの体に、容赦なく散弾が叩き込まれる。衝撃で怪物の体は後方に飛び、またも赤黒く濁った血が流れる。
「二階堂くん、敵は討った。安らかに逝ってくれ…。くっ…。」
結城は涙を流しながら、息の荒い怪物にとどめの一発を撃つ。怪物はぴくりとも動かなくなった。
「二階堂くん…。」
結城は何と言ったらいいのか分からない。姉の萌華も、壊れたように芳樹、芳樹と名前を呼び続けている。その返事が帰ってこないことは、萌華も分かっていた。もう死んでしまったのだから。
「さあ、みんな行こう。」
いつまでもくよくよしているのは得策ではない。いつアンデッドの群れに襲われるか分からないからだ。四人は悲しみを引きずりながら、雑居ビルを目指す。ようやく、大通りから路地に入った。
「みんなもうすぐだ。最後まで諦めないで。死んでいった人たちの分まで生きよう。」
萌華は弟の遺体を運んできていた。ちゃんと弔いたいのだ。そして、できれば墓にも入れてやりたい。両親の墓も建ててやらないと。みんな一緒のお墓にしないと寂しいよね。萌華の涙は止まらない。
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