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「私は先輩の役に立ちたい一心で、その頼みに応じることにしました」 そこまで話した彼女、ピンク色に塗った唇をキュッと閉ざし、潤んだ瞳でテーブルの1点を見つめる。 「……先輩、いつも明るくて、優しくて、本当に素敵な人なんです。なのに、その時はすごく落ち込んでいて、泣いてて…私、悔しくて。ずっと憧れて目標にしていた人だったから、力になってあげたい。って、そう思って」 ゆっくりと開いた口から出てきた言葉は、先輩を慕う後輩の言い訳。 「悪気があった訳じゃない。そう言いたいのかな?」 それに口を挟む北野社長。 「はい。『ちょっと困らせたいだけだから』って。『大っぴらにはできない内容だし、内内で処理するだろうから大ごとにはならないよ』って言われたんです」 北野社長の方へ身を乗り出し、必死に弁解する彼女。 「確かに罪悪感はありました。心配して、私を側に置いておけるよう社長にお願いした父にも悪いことをしたと思っています。だけど、どうしても許せなかったから」 太田社長、そして俺の方へと顔の向きを変え 「『泉諒太』さんが、どうしても許せなかったから」 ポロッと一粒涙を落とす。
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