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僕は勇者だ!
我が国の王様が僕に対してそう仰ったのだから、それに間違えはない。
「たのもー!」
で、僕は今、魔王城の魔王の間に突入したのである。で、玉座に座る魔王と向かい合った所だ。
勇者の使命とは、『魔族の撲滅』なのだから、その長を討伐しようとする事に関しては、なーんも問題が無い筈だ。
だというのに――
「ふむ、貴様一人で来たのか……」
僕の目の前で、漆黒の外套を纏った魔王らしき人物はクククと嘲笑しやがった。
「魔王……お、お前も、王様と同じ事を言うのかっ!」
何故だ! どうしてどーしてだ。一人で魔王城に乗り込む事に対して、なんでドイツもコイツも僕を馬鹿にしたような態度をとりやがるのだ。全く、訳がわからないよ。
「? 貴様が何を言っているのか解らんが、さあ剣を取れ。戦おうではないか」
え? と僕は驚く。
「どうした? 何をしている? 哀れな人間よ」
いや、だってさ。だってだよ。
「そこは普通『貴様に世界の半分をやる、だから、どうだ、私の仲間にならないか?』って聞く場面でしょ!」
「……下らん。それは、私に対する侮蔑か?」
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