01*chika

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「ここ」 「…つうか、そこ、おまえの手が入ってる」 「早く!」 「おまえが手ぇ出せば、そんまま携帯出てくるよ、きっと」 「チカ、切れる! オレ困る!」 「…」 オレの顔が思い切りゆがむ。 「チカ! 急げ! お願い!」 「…」 オレは無言のまま、アズキのポケットの中に手を入れた。 中は温かかった。 「…チカ」 アズキの声がオレの上から落ちてきた。 「…」 「耳、赤い」 「…寒いからだろ。 …つうか」 オレは顔を伏せたまま、口を開く。 「…携帯、入ってない」 「うん」 「…」 「…バッグの中だった。 つうか、もう切れた」 「…」 オレが何も言わず手を引っ張り出そうとすると、アズキがポケットの中でその手を掴んだ。 「…チカの好きなヤツ、誰?」 「…いねえよ、離せ」 .
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