肴.5

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坂下 忠幸は、今日、妻を殺した。彼女の浮気を、許せなかったのだ。 「別れましょう」 そう言って、自分を裏切った妻が、後ろを向いた。ずっと、自分だけを見ていてくれたはずなのに、彼女はきっと、もう二度と自分を見てはくれない。 そう思った時には、妻を背中から刺していた。たまたま近くにあった包丁を、すぐさま手に取り、妻の背中に駆け出した。 スッと吸い込まれた包丁。目の前は彼女の背中で溢れ、なにも見えなかった。 妻が床に倒れ、目の前の景色が変わった。丁度、玄関の前だったため、目の前には、閉ざされたドアがあるはずだった。 しかし、そこには、開いたドアと、漏れ出す外の光。そして、久しぶりに目にした、幼馴染みの、河田 美幸の姿があった。
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