森の都

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森の都

平安時代後期ー ここはこの時代に最も潤っていた都 神戸(かみのと)の都だ。 農業が特に盛んだったために、 人々は森の都とも呼んだ。 『おい。春明(はるあきら) あの娘を連れて参ったぞ。』 白猫が、星を水面に写した池の縁で言う。 春明は、何やら書物を読んでいたが、御簾を開け外にでて来た。 『だが、ちと問題が生じた。』 「わかっておる。私が対処する。」 春明は、そう言うと 「ご苦労だった。」とつぶやき 白猫の顎をなでた。 白猫は、グルグルと気持ちよさそうに鳴いた。 ●御簾(みす) 今でいうカーテン、すだれのこと。
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