プロローグ

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スイがそれを見つけたのは、街にある露店を何気なくまわっている時だ。 古風な本だった。 古ぼけて、どこにでもあるような、ありふれた本だった。 だというのに、なんだか気になって手に取った。 周囲は軽い喧騒に包まれている。 エアルとテオのせいか。 こうやって気の向くままに、露店をまわるのは嫌いではない。 ちょうどその時はキィが付き添ってくれていた。 キィとはこうしてたまに顔を会わせ、たわいないことを話したり、あてもなく散歩をしたりしている。 中々会えないためもあるのか。 そんな時間がスイにとっては幸せだった。 「どうしたの?」 高いソプラノの声がした。 キィが気になったのか、こちらに声をかけてくる。 「いや。ちょっと…」
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