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世間一般的に、大学生の夏休みは長い。
けれど過ごしてみれば、
「もう休みが終わっちゃう~」
なんて感想を漏らしたくなるのが一般的。
「っつか、俺よりかなり夏休み満喫しただろうが」
そんなヒロキの声に「そうだけど……」と唇を尖らせたのは長い黒髪を揺らす彼女。
「ヒロ君は仕事しすぎなんだよ」
「俺が仕事の間トモに連れられて海行きまくって小麦色になったのは誰だ?」
「……あ、小麦粉が切れてた。買わなきゃ」
そう言いながらじっと見つめるのは彼の顔。
「なに?」
少し不機嫌そうに聞けば彼女はニコッと笑顔を向ける。
「買い物行ってくる。晩御飯は何がいい?」
なんて言われると拗ねてる自分が馬鹿らしくなってしまう。
「車出せばいいわけ?」
「え? いいよ! ヒロ君まだお仕事でしょう? ひとりで行けるし」
「食材見て晩飯決める。行くぞ」
「――うんっ!」
車の鍵を持って歩きはじめたヒロキにヒナもついて玄関のドアをくぐっていった。
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