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全ては十年前の夏休み。親の諸事情により曾祖母が働く研究所へと一日預けられた事から始まる。
僕には従妹がいた、大好きなお姉ちゃんと、同じ年齢になる女の子が一人だ。
その二人も一緒だった。
僕達は見知らぬ研究所の中を、二人と一緒にたくさん遊ぶつもりでいた。
幸い、研究所内は遊ぶには充分な施設と広さがあった。
ここで僕は人生最大の過ちを犯してしまう……大人しく専用の施設で遊んでいればよかったにも関わらずだ。
僕は……その研究所の広さ故に、二人の従妹に探検を申し出たのだ。
従妹の姉の方はそれに反対したが、妹は違い……僕に賛成した。
『勝手に歩き回っちゃダメ! 迷子になるよ!』
僕はそんな姉の忠告を聞き入れず、賛同しない姉を抜いて二人だけで研究所の中を探検する事にしたんだ。
研究所の中はとても興味深かった。
普通では見る事の出来ない施設、研究材料、研究結果によって作られた機械……将来、父のような立派な研究者を目指していた僕は、それ全てが夢のような場所だったのだ。
それに対し、従妹はまるで興味を示さなかった。
それどころか途中で飽きてしまい、気付けば僕の傍からいなくなって探検する事をやめていたのだ。
でも僕はそれでも研究所の探検をやめなかった。
そう……やめなかったんだ。
『あれ……あれ!? で、出れない!』
後悔した時には全てが遅かった。
僕は抑えきれない探索意欲に負け、その研究所のほとんどがオートで開くドアに対し、ずっと使われていなかったのか、オートで開かないドアの中の部屋へと入ってしまったのだ。
どうしてその部屋だけ電気が通っていないのか? そこまで考えるだけの頭が当時五歳の僕には無く、入ってしまった。
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