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同じく信念を掲げたグリービッドを目前にルヴィは迷いだけで矛先を下ろし、命を差し出す行為をしてしまった。それはとても失礼な事だっただろう。それは紛う事なき甘さであっただろう。
「ルヴィ殿、約束してください……」
嗚呼、心配いらないよ。
ルヴィはリスタにその先を言わせないように頭を強く撫でた。そして、代わりに二の句を継ぐ。
「一緒にベルナの所に帰ろうな」
「ッ、はい!」
肌を擽ぐる柔らかな毛から手を離し、ルヴィは自分達が来た方へ振り向いた。
先ほど、十名程度の軍人が向かって行ったのは横目に見ていた。
百メートルも離れていない後方で何人かの軍人が一体の精霊と戦闘を繰り広げている。
否、何人かの軍人が一体の精霊に遊ばれている。
聞こえて来るのは詠唱と、叫びと、悲鳴と、そして──高笑い。
ルヴィは迷わず走り出した。
左手の小指のピンキーリングを確かめるように見やり、足に風を纏わせて更に加速する。
すると、離脱した三人の軍人がこちらに向かって来た。
「くッ、来るなッ! 来るんじゃないッ!!」
「逃げろォッ!!」
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