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「……ごめん……」
「……」
「……ごめん……」
「……」
「……ごめん……。……本当にごめん――――」
『ごめん』というのは、どういうことなのだろうか。
蒼は、一体、何を……、何に対して謝っているというのだろうか?
蒼の言葉に対する疑問は、いくら考えても消えそうにない。
「……私のこと、嫌いになったん?」
「嫌いじゃない……」
項垂れるようにして頭を下げ、首を横に降っている蒼を見る。
「……じゃあ、何で?」
「……ごめん……。本当にごめん…………」
「……私、阿呆やから『……ごめん』だけじゃ、蒼の気持ちが全然分からへんねん。まずは、どういうことか、私にも分かるように説明してくれへん?」
「……」
「……なんで、黙ってしまうん?」
「……ごめん……」
かれこれ1時間近くは、このやり取りが繰り返されたのではないだろうか……?
『ごめん』と沈黙のみの相手に、どう会話を繋げたら良いのか……。
誰か良い方法があったら、教えて欲しい。
いつもだったら、
『そっかぁー。私には何のことかさっぱり分からへんけど、蒼は私に謝りたいことがあったんやね!……ま、なんやメッチャ言いにくそうやし聞かんといてあげるわ!』
と流すことも出来たし、笑って流したと思う。
心の中で多少のもやもやは残るにせよ、蒼が話したく無い内容を無理矢理聞き出そうとする程、私はデリカシーの無い人間ではない、からだ。
だけど……。
だけど……。
それでも。
やっぱり、私にも譲れないものがある。
(これだけは、流したらあかん……)
頭の中で、警鐘が鳴り響いた。
蒼が、約1時間前に、私に言った言葉――――。
『もう一緒には居られない』
これだけは……。
到底、受け入れられない言葉だったから――――。
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