【旋 律】前編第四章

母親を亡くしたことによって『家族』への思いや憧れがとても強いのかもしれない。

その家族を守るために素敵な家族を自分で築く為に、継母である恵美さんに、少しでも多くコミュニケーションをとろうと心掛けてきたんだ。

そして自殺したお母さんのような弱い人を救いたくて、弁護士になろうと思ったんだ。

なんて……なんて、

健気なイイ子なんだろう。

歩きながら目に涙が浮かぶことを感じ、円香は慌てて目頭を押さえた。