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そしてハーッと大きく息をついてハンカチで目頭を抑え、
「お時間取らせてすみませんでした」
といって立ち上がり頭を下げた理沙に、楓は小さく首を振った。
そして書斎を出ようとドアノブに手をかけ、そっと振り向いた。
「あの……もし、あなたが独身だったら、私を受け入れてもらえましたか?」
震えるような声でそう尋ねた理沙に、楓は言い難そうに目をそらした。
「残酷なようだけど、受け入れなかったと思う」
「な、なんだ……講師にとって、私ってとことん魅力がないんですね。駄目だな、私」
そう言って涙目で苦笑した理沙に、楓はすまなそうに目を細めた。
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