【旋 律】後編 第五章

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  そしてハーッと大きく息をついてハンカチで目頭を抑え、 「お時間取らせてすみませんでした」 といって立ち上がり頭を下げた理沙に、楓は小さく首を振った。 そして書斎を出ようとドアノブに手をかけ、そっと振り向いた。 「あの……もし、あなたが独身だったら、私を受け入れてもらえましたか?」 震えるような声でそう尋ねた理沙に、楓は言い難そうに目をそらした。 「残酷なようだけど、受け入れなかったと思う」 「な、なんだ……講師にとって、私ってとことん魅力がないんですね。駄目だな、私」 そう言って涙目で苦笑した理沙に、楓はすまなそうに目を細めた。  
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