【旋 律】後編 第七章

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  そうして策を講じた。 他の生徒は気にも留めていないだろうが、ある曜日のとある時間、保健室の教師が他クラスの授業に出ているため、もぬけの殻になる時間があった。 その時間を把握している自分は仮眠を取りたくなった時に利用し、共学なら女を連れ込めるのに、と常日頃感じていた時間でもあった。 その時間と英語の授業が重なった時、例の女教師に腹痛を訴え、『付き添ってください』と哀願し保健室まで同行してもらうことにした。 保健室まで歩きながら、 「先生、俺って悪い生徒かも……」 とチラッと女教師を見た。 彼女は眉をひそめたあと、何かを察したようにフフッと笑った。 保健室に入るなり「あら、いないのね」と呟くように言った彼女に、 「ここのセンセ、この時間は授業に出ていて、いないんですよ」 と言って、ベッドに腰を掛けて彼女を見た。
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