エピローグ

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エピローグ

「照彦…会いたかった。」 依子は俺に微笑む。 心なしか、照れた様に。 「依子…。」 「さぁ三須、言ってやれ。 私は全身骨折で彼方此方痛いのだ。 出来れば早く済ませてくれ無いか。」 満身創痍の探偵黒川姫百合が気だるそうに俺に催促する。 「やっぱりそれ、普通に考えたら死ぬんじゃないですか!?」 もっと他に言いたい事はあるのだが言葉に成らない。 兎に角、俺はこの超人を捨て置いて依子に駆け寄り、連れ添う様に寄り添った。 「依子…」 俺は依子の肩を抱く。 「あ、肩は抱かなくて良いからね。」 「あ、うん。 済まない…。」 「早く済ませろと言っただろう!バカップル共がぁ。」 「さぁ、照彦!今こそ私を抱きしめて!私の全てを受け入れて!」 依子は汚れ無き眼で俺に哀願する。 懇願する様に。 「依子…」 「あ、肩は抱かなくて良いからね。」 「あぁ、そうだったな。…済まない。」 この距離感がもどかしい。 「照彦…。」 俺を見上げる様に、俺の顔を覗き込む依子に なすすべ無くさまよっていた右手を翳して俺は指指すのだった。 「犯人は お前だ。」
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