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「まあちゃん先生」
保健室の扉を開いて探したけれど、まあちゃん先生はいなかった。
部活の最中に爪を割ってしまったあたしは、どうしたものかと思いながら右手の人差し指を口にくわえた。
鉄のような血の味。
衝立の向こうに三つ並ぶベッドのうち、一つだけがカーテンに囲まれていた。
少しだけ開いた隙間から中をチラッと覗いてみると、女の子が布団に包まっていた。
ぐっすり寝ているようなので、カーテンをきちんと閉めてやった。
扉の開く音がして振り向くと、白衣を着たまあちゃん先生が入ってきたところだった。
「あら、村木さん。どうしたの」
「部活で爪割っちゃった」
「あら、見せて」
口から指を外して見せた。
「うん。剥がれてはいないね。消毒して絆創膏はっておけば大丈夫でしょ」
まあちゃん先生が消毒の準備を始めたので、あたしは椅子に座った。
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