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第43話 不審な来訪者
日曜日の午前十一時、凌生のマンションを後にし、駅近くのカフェに足を運んだ。
隣には緑地公園があり、テラスに座れば森の中にいるような錯覚を抱く。
居心地のいい空間。
シェアハウスにまっすぐ戻る気にはなれなくて、かといって何かをする気にもならなくて。
スパークリングワインを注文して一気に煽った。頬杖をついて溜息を零す。
凌生は、海斗が本名を隠していたのは、出世のためと派閥を広げるためだって言ったけれど、本当にそうなのかな?
もし海斗が副社長の息子だというのなら、海斗は父親を憎んでいることになる。
一体、何があったの?
憎まないで生きることはできないの?
マイナスの感情は絶対に人を幸せにしないから。
憎しみを忘れて欲しいし、そのためにできることならなんだってしたい。
でも、わたしなんかに何ができるのかな?
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