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直人くんはすぐには私のそばに寄らずに、ダイニングのテーブルで煙草に火をつけた。
ゆっくりと肺に煙を入れて、同じ速度で白い息を大きく吐き出した。
テレビの音声だけが私たちの距離を繋ぐ。
私は直人くんが二回目の煙を吐いたタイミングで笑顔をつくった。
「直人くん、私なんか泊めて大丈夫?ごめんね。私、気づかなくて…彼女いるなら先に言ってよ」
私は笑う。
心では泣きながら。
でも、直人くんは笑わなかった。
「彼女はいないよ」
「…嘘ばっかり」
「さっきのは彼女じゃないよ。たまにしたくなると電話してくる奴。カラダだけの女だよ」
目の前が
真っ暗になりそうだった。
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