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◆◆ side 望愛 ◆◆
その日の帰り、私は会社の近くのクリーンニング店に寄って、渉さんのシャツとネクタイを預けた。
「あれ、彼氏の?」
私のアパートは会社の近くなので、私は常連だった。
クリーニング店のおばさんは薄いブルーのシャツと私をニヤけた顔で交互に見つめた。
「ち、違いますよ!」
「派手なシミだね。」
おばさんは私の返事を無視して言った。
私はそれに苦笑いを返す。
「でもいいシャツね。安物じゃないわ。ノアちゃん、玉の輿?」
「だから、違いますって!」
「はいはい。じゃ、これ、引き換えね。」
おばさんはいつも通りに伝票をくれた。
明日はまた渉さんとグループの視察で、今回は私の行ったことのない、初めての工場だった。
グループの情報は書面でしか知り得ないので、その場に足を運べるのは本当に楽しみだった。
どんなところで、どんな人たちが働いているのか。
また、渉さんとの車移動。
そのことを楽しみにしてるワケじゃ…
…ないはずなのに、
この感覚は…
懐かしい、遠足前の子供みたいな感覚に…少しだけ似ていた。
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