雲行き-1

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何度も言うようだけど、 私は室長から直接好きだと言われたわけじゃない。 だから… …私の勘違いかもしれない。 だけど… もしも野崎さんに室長への想いが芽生えたのなら、 室長も野崎さんに… …なんて、願うのは 都合がいいだろうか。 恋愛偏差値が低い私だって、 これくらいはわかってる。 全ての人の願いが叶うわけじゃないけれど、 自分の大切な人の幸せを願うのは 『都合がいい』のとは違うと信じたい。 そう思うのと同時に、 私はさっきの野崎さんの姿を思い出していた。 『…すごく素敵な人だったから…。』 『…一目惚れって言うのかもしれない…。』 顔を真っ赤にして言っていた。 私はあの瞬間、確かに彼女をすごく可愛らしいと思っていた。 野崎さんの中に、自分にはないものを見た気がした。 自分の想いをあんな風に素直に口に出来るのは… すごいな…と思った。 …いいな… と思った。
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