突然の就任

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「今度やるプロジェクトは社運をかけてやるらしいわよ」 それはいつものように重役用の食堂で同期3人昼食をとっている時だった。 「社運?そんなに大きいものなの?」 千恵の話に肉をナイフで切りながら私は興味を示した。 「新しい事業を始めるみたい」 「このご時世に……」 ひよりはあんまり興味はなさそうだけど。 「なんでもブライダル関係の仕事するとか……」 「ブライダル?」 「うちって基本的になんでもやってるじゃない?建築だったり不動産だったり……。それで今回はブライダル業界に目をつけたってわけ」 そう。うちの会社は何でもやっちゃう商社。 けど決して手を抜くことはしない。 だから一応日本では名の知れた会社だ。 「ホテル作るってこと?」 「それも同時進行」 「なんだかめんどくさいわね」 ひよりは完全興味なしね。 あんたはランチに集中してなさい! 「社長はりきっちゃって……。それで今回、優秀な人材を集めてプロジェクトチームを作るらしいの」 「ふ~ん。営業の私達には関係ない話よね」 「そうでもないわよ。今回は色んな部から何名か選抜するらしいから。 ここは比較的大きな会社でしょ?実際自分がやりたい部署に配属されてない人もたくさんいる。美由もそうでしょ?」 「うん……。まぁ~」 「そっか~。美由は内装のデザインをやりたいって言ってたものね」 そうなのだ。 私がこの会社を選んだのは部屋の内装のデザインをやりたかったから。 でも私の希望は通らず営業部に配属になったのだけれども……。 「社長は社員のそうゆうこともちゃんと理解してる」 「ちゃらんぽらんに見えるけどちゃんと考えてるんだ。」 ひよりが横からチャチャを入れる。 「だから今回、全社員には無理だけど夢をもってる社員にチャンスをあげようと考えてるみたいよ」 「なるほどね~」
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