真実-2

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「さてと、そろそろ帰るか」 課長が腰を上げたので私達もそれに続いた。 課長は私達の分も支払いをしてくれた。 お礼を言って私達は外に出た。 「何だか色々ありすぎて疲れた」 義春が先頭に立って歩きながら言った。 「私なんてあの竹内さんで倍増したわよ」 「お疲れさま」 ひよりと千恵が並んで歩く。 私はというと……。 課長と並んで歩いていた。 「本当はちょっと寂しいんじゃないんですか?」 何か話さないとと思って私は声をかけた。 「何が?」 「友樹くんの事です。課長に懐いてたから寂しいんじゃないかなぁって思って」 「まぁな。でもいつか本当の自分の子が出来るまで我慢するさ」 課長もいつか結婚するんだな……。 それが自分であってほしいと心の中で思う。 沙織さんという障害がなくなった今、課長は完全にフリーだ。 その時、課長の携帯が鳴った。 「悪い」と言って背中を向けた課長が電話に出た。 私は課長の背中を見つめながら思った。
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