それぞれの道-1

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大役を果たし終えホッと息をつく。 私の目に飛び込んできたのは泣いているひよりだった。 えっ?何で泣いてるの?? その隣を見ると……。 部長までもが泣いていた。 ちょっ……えっ? そんなたいした話をしたつもりはないのに……。 とりあえず私はひよりの側に行こうと足を踏み出した時、社長がとんでもない事を言った。 「いやーいい話だったよ。そういえば君達は付き合ってるんだったよな」 私の足が止まる。 今?社長何て言った? まわりもシーンとしてしまった。 千恵が慌てて社長を引っ張るがもう遅い! みんなの目は興味深々と言った感じで私達を見ている。 「二人は結婚するのかね?」 空気の読めない社長はそんな事を聞いてきた。 結婚って……。 それ以前の問題だし……。 みんなは別れたって思ってるわけだし。 だから結婚とかありえないし……。 この状況をどうしたらいいのか解らずいたたまれない気持ちだった。 「社長。その話はプライベートな事ですから今はご勘弁ください」 その声に振り返る。 大きな花束を抱えた課長が社長にそう言った。 課長は向きを変えるとマイクに向かって話し始めた。
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