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「怖いとか……そんなんじゃなくて……」
ハルの手をきゅっと握って、俯いて考え込んだ。
「ま、前にさ。徳間が言ってたんだ。
ハルならさ。いっぱい女の子が寄って来るって。お、男でもさ。ハルが望めば……ってさ。
オレ、やっぱ女じゃないし。女の子と比べちゃったらそりゃ、オレなんかってなるし……お、男がいいんだったらさ。オレ、男としてはすごく半端だろ。だ、だからさ。いいのかなって……」
「不安になった?」
「オレ、普通だし……ってかさ、普通以下じゃん。勉強はいいかもしんないけど、わかんないことばっかで。
ハルなんかに構って貰えるようなのと違う気がするんだ」
「俺の見てるななをさ、見せられたらいいのにな」
ゆっくりとハルがオレの手を引いた。開いた足の間に引き寄せられて、ハルの顔が腹に触れる。
まだ微かに冷たい指がシャツの下からもぐりこんでオレの背中を抱きしめた。
「きっと……ななが見ているななと、俺の見ているななは全然違うんだ。
俺の見ているななにはさ、平凡なとこなんてひとつもなくて……ななが言う悪い所も全然悪いところじゃなくて、逆に物凄く魅力でさ」
ハルがオレの手を取ると自分の胸に触れさせた。
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