2855人が本棚に入れています
本棚に追加
/38ページ
1時間くらいしてから、病室に戻ってみた。
春子は静かに寝息を立てて眠っていた。
頬がほんのり色づいて血色が良い。
思わず、笑みを浮かべてしまう。
カタ。
折りたたみ椅子を持ってきて、春子の寝顔をじっと見る。
そして毎日の習慣で手を握る。
意識が戻ったから、手を握るのはやめないとな……。
「優羽……?」
起こさないようにちっちゃい声で呼んでみた。
春子が目を覚ます前に起きよう……。
軽く指にキスをして、俺も目を閉じた。
夢を見た。
いつもの、春子に手を伸ばしてもらう夢。
手は握れなかったけど指と指が触れた。
春子は今までで一番鮮明な表情で笑っていた。
最初のコメントを投稿しよう!