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俺の名前は、碧依 流星。 親が星が好きでこんな名前にしたらしいけど、まあ悪くはない。 俺は学校でも流星って呼ばれてるけど、別にそれも悪くはない。 只、女子から呼ばれてるのはちょっとどうなんだって感じ。 俺の趣味は昼寝で、その場所は決まって中庭か屋上にしている。 中庭には内緒で飼っている黒猫が餌を求めてやってくる。 今日も黒猫に餌を食べさせてやりながら、図書室からの目線を眺めると目が合う。 目が合うと彼女、美波 咲香は赤くなって窓から中へ顔を引っ込める。 毎日こんなやり取りをしてるなんて、俺らしくはないんだけど最近は何故か昼は中庭に来てしまう。 「…何かしたかな、俺」 「ミャー」 「お前は気ままでいいな? 代わってほしいよ」 俺が黒猫にそうぼやくと、黒猫は瞳を細めてジッとこちらを見つめる。 「ん? どうした、お前」 「ミャー」 「ミャーじゃ、分かんないって?」 俺がフッと笑ってそうぼやくと、黒猫は何かを口に銜えて持ってきた。 「髪結ぶ奴だよな、コレ? お前お洒落したいのか」 「…」 「違うよな、そりゃ」 俺はフッと可笑しそうに笑うと、また図書室から彼女が見下ろしている事に気付いた。 「…まあ、直接聞いてみっか」 俺は黒猫の頭を撫でると、校内へと入って図書室を目指した。 「…もう行っちゃったかぁ」 咲香が残念そうに項垂れていると、いきなり肩を叩かれて驚く事になった。 「咲香、何やってんだお前は?」 「蒼ちゃんかぁー ビックリさせないでよ、もぅ!」 「お前が項垂れてるから悪い」 「だって…」 「何を見てたんだ?」 「内緒だもん!」 咲香がニコッと微笑むと、水澤蒼真ははぁーっと溜め息を吐いて呆れていた。 「生意気な幼馴染みだな」 「蒼ちゃん何か用だったの?」 「弁当食べたか?」 「うん?」 咲香は証拠のお弁当箱を見せると、蒼真はフッと微笑むと頭を撫でてくる。
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