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「どうかしたの、蒼ちゃん?」 「んー、ちょっとな」 蒼真は暫く咲香の髪を撫でていたが、気が済んだのかフッと微笑むと離れた。 「彼女さんと喧嘩でもした?」 「…ん、ちょっとな」 「そっか。 早く解決したら良いけどね?」 「まあな」 蒼真はフッと微笑むと、用が済んだのか図書室の出口へ向かってしまった。 「何か元気なかったな、蒼ちゃん」 咲香はそう思ったが、流星観察は既に終わったので読書を始めた。 「…。」 「…。」 「ふぅ…」 咲香は一段落しようと呼吸を一息吐いたが、何となく気配がして顔を上げた。 「集中してると、周り見えなくなるんですね?」 「…?!」 「そんなビックリしなくても、あんだけ目が合った仲でしょ? まあ、俺も何となくあそこに居たんだけどね」 「…。」 「よく目が合うよね、俺ら?」 「…な、何で?」 「そろそろ何で見てるのか聞いとこうと思ってね? 美波先輩、いつも図書室から見てるから何を見てるのか気になってね」 「…別に一定の人を見てる訳じゃないよ? 只、その猫が」 「猫?」 「貴方に懐いてるから気になってて見てたんだけど、碧依君も気付いたからその…」 「ほぅ。 そう言う理由だったのか… てっきり俺の事好きで見てるって思っちゃいましたよ?」 「…め、滅相もない」 「美波先輩って、嘘つくの苦手でしょ?」 「…え?」 流星はフッと微笑むと、妖しく笑みを浮かべたままで咲香の隣に座ってきた。 「…な、何?」 「美波先輩、照れ屋さんだって有名だったね? 男に免疫ないですよね」 「…君には関係ないでしょ?」 「ふふっ 関係ない事には出来ないんだよね?」 「ちょっと近すぎる…」 「俺ね? 実は美波先輩に興味があるんだ。」 流星が楽しそうにそう告げると、咲香は何となく距離を開ける。
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