楚都動乱

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紀元前596年春、彰武は未だ寿春に駐屯を続けていた。 髭恭 「総大将!いつまで寿春で練兵を繰り返すつもりですか?先月の淮河の戦で清軍は壊滅的打撃を受けたではありませんか!弱体化した今こそ清を滅ぼす好機ではないのですか?」 藤隆 「私も髭恭と同意見です。彭城はあと一押しすればすぐに陥落するでしょう。なぜ今、お攻めにならないのですか?」 彰武 「人はな、臓腑を患うと外見的には健康に見えても、実際には重症なのだ」 髭恭 「ま、まさか!総大将…」 彰武 「たわけ、ワシのことではない。楚の国自体のことを言っているのだ。郢にいるあの愚かな王を排除せんことには、ワシも安心して彭城を攻めることができぬ。すでに彭城を落とす算段はしておる…だからこそあの王を排して万全の態勢で攻略せねばならんのだ!」 いつになく憤慨する彰武の様子に、髭恭と藤隆は事態の深刻さを感じていた。 彰武 「令尹の行方はまだ知れぬのか」 彰武は、数日前から梅仁の行方を探させていた。 髭恭 「配下に八方探させてはいるのですが…」 彰武 「あいつ、もしかしたらワシが死んでいると勘違いしてよからぬ事を企てて無いか心配でな」
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