紅葉

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久々に酒も飲んだ。 お城では殿に勧められどうしようもない時のみ一献付き合う。 伽の仕事に影響してはならないからだ。酒を飲んで殿より先に寝入ってはならない。そんな習慣がついてしまってあまり酒を飲みたい気にならなくなった。 すべてがあの方を中心に回っている。 自分でも不思議なくらいあの方の前だけは素直になれる。 こうやって離れてみると尚更心の中すべてがあの方のものであると身に染みて思われる。 昨今、江戸や京都で不穏なことが起こっているという。 いづれ外様とはいえわが藩にも…殿にも火の粉は振りかかろう。 その時はあの方の盾になりたい。何があってもあの方から離れずにいよう。 今日この月を見て改めて心に誓う。
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