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チャイムを鳴らしてから、僅か数秒でガチャリとドアが開くと同時に、勢いよく飛んできた体を慌てて受け止める。
「……っと、…おい七瀬、ちゃんと誰だか確認したか?」
「圭悟くんの匂いがするー…」
俺の体に腕を伸ばし絡めるように抱きつきながら、胸に顔を埋める七瀬。
「聞いてんのか?ちゃんとインターフォンで確認してから、ドア開けてんだろーな?」
「……大丈夫だよ。今はね、インターフォンの前で圭悟くん来るの待ってたから、早かっただけだもん」
そう言うと、胸に埋めていた顔をパッと上げてから…何とも言えない優しい顔をして、
「おかえりなさい」
と言ったのだった。
毎日、この表情で俺を迎えてくれる七瀬。この「おかえりなさい」の一言で、一日の疲れが吹っ飛ぶってもんだ。
おまけに、インターフォンの前で俺を待っていただって?
イイ歳したおっさんである俺は、七瀬のこの愛に、完全に骨抜きにされている…
どうしようもない位に…
そして、俺を見上げる七瀬の頬を撫でるように触れてから「ただいま」と言ってキスを落としたのだった。
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