第2章 7話 白虎と青龍

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「あなたがどんな身体であっても継いでもらわなくてはならないの、いいわね?白虎」 「はい、母様」 白虎は約五百年前にこの世に生まれた。 白虎とは虎が五百年生きるとなるとされている西を守護する幻獣だ。 この白虎も今日をもって白虎という幻獣に成り果てたのだ。 「貴方なら大丈夫だとは思うけど…母様はとても心配です」 銀色の長髪を纏った母様と呼ばれた女性は目の前の白虎にいう。 「今世代の者はもう全員見て参りました。玄武殿も朱雀殿もとても頼りになるはずです。青龍殿はまだあなたより年が若いのですが、かなりのテオドロスの使いです。貴方のサポートもきっとしてくださいます。良いですか白虎。次の集会からは貴方が出るのです。母様はもうここより遠い地に行きます。二度と戻りません。これから貴方は1人で生きていかねばなりません。ハンデは大きいですが、一人前の西の守護者になってくださいね」 白虎の手をギュッと握り目をジッとみる母様に白虎はどうすることもできなかった。本当は不安でしょうがない。身体が不自由な白虎が1人で暮らすなど嫌でしょうがない。だが、いつかはこの時がくることは予想していた。 しょうがない。その言葉で片付けたくないが、今はその言葉しか浮かんでこないため、この言葉で消化する。 …しょうがない。
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