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「……でもお父さん、
休みの日は殆んど仕事で
今月はもう無理だよね」
なんとか日にちを伸ばそうと必死で話す私にお父さんは
「相手も早い方がいいだろう。
休みを取るから
今週末にでも来るようにいいなさい」
まさかお父さんが休みまで取ると言い出すとは思わなかった。
そんなにもあの男にあいたいのだろうか。
いっそ“お前なんかに家の可愛い娘はやらん!”的なことを言ってはくれないだろうかと、
かなり薄い期待をしてしまった。
「ありがとう……、
伝えておくね」
それ以外の言葉なんて言える雰囲気じゃなくて
私は一生懸命に笑って見せ、
そしてタイミングを見計らい立ち上がると「おやすみ」と言い部屋に戻った。
部屋のドアを閉めた瞬間、
緊張の糸がプツリと切れ、
ヘタリ込むようにその場に座り込む。
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