優しくしないで-1

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「あっはは…」 怒りとか、悲しみとか、こういうときって出てこないもんなんだろうか…。 自分の鈍感さに、笑ってしまう。 誰にでも告白されたら付き合っちゃうの? ちょっと好意があれば、その子を抱くの? 簡単に愛してるってささやくもんなの? 私は、涼太の何を見てきたの? 「…なる…、俺、なるのこと好きだよ。ただ、こういうかんじになっちゃったけど、美雪とは…」 「やめて!」 しゃべらないで。 「なる…」 「私の名前を呼ばないで…」 涼太が私を見てる。 私も涼太を見つめた。 泣かない。 涼太に涙なんか見せない。 終わるときって…、こんなにも呆気ないもんなんだろうか。 きっと私はこの先、涼太と一緒に暮らして、結婚して、子供を授かって、…当たり前のしあわせを手にいれるんだとばっかり思ってた。 こんなにも簡単に、手からすり抜けていく…。 もう、私の心は…涼太から離れていた。
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