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【アランSide】
泣きながら部屋を飛び出した美希。俺は追い掛けたい気持ちを、グッと堪える。
テーブルの上には二人分の夕食が並んでいる。
「俺は…何やってるんだよ」
椅子に座り、グラタンを見つめる。
「俺の料理は上手いんだよ。なのに何で食べないんだよ」
美希…
全部、お前の好きなものばかり…。
美希…
涙が溢れ、目の前の料理が霞む。俺は料理を口に運ぶ。
「あほ、男のくせに何でないてんねん」
天井を見上げ涙を堪えた。
堪えているのに、涙は頬を伝う。
「これで…いいんだ」
俺は美希の担任。
明日から俺達は、ただの教師と生徒。
――翌朝、正門前で花菻高校の男子と鈴蘭女学院の女子が談笑していた。その中に美希の姿があった。
美希は眼鏡を外し、髪型も直し美少女へと変貌を遂げている。
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