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 鈴那は加藤との関係をまだズルズルと続けていた。加藤の子供時はもう八ヶ月。奥さんのお腹もだいぶ大きくなっていることだろう。  鈴那は感じていた。そろそろではないかと。加藤に切り捨てられるまでのタイムリミット。きっと自分はまた捨てられる。  そう思うようになったのは、甘い囁きや愛の言葉が日を重ねるごとに少なくなり、今ではまったくないからだ。それに一緒にいる時間も短くなった。合えばすぐベッドへ入り、終わればすぐに帰っていく。最初からこうなることは目に見えていたのに、本当に自分はバカな女だと、鈴那は一人、ホテルの部屋の窓から夜景を眺めていた。  テーブルに置かれたホテル代とお小遣い。加藤はお小遣いと言っているが、彼は割り切っている。鈴那も割り切っていたはずだった。一人じゃなければ、どんな場所でも、悲しくても、虚しくても、それでいいと思って……。
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