それを忌むワケは。

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(…何やってんだろ、私) 視線を地面に落としたまま、街灯に照らされた歩道を背中を丸めて歩き続ける。 精神的な疲労と、ひた走ったせいの肉体的な疲労がどっと押し寄せ、沙那の足取りは実に弱々しい。 (あぁ、もう嫌気がさす…!) いい歳して、ちっとも素直じゃない。 現実に向き合おうとせず、心とは裏腹の事を言って背いてばかりだ。 今だってこうして、自宅に戻るかもしれない姉と顔を合わせたくなくて、より遠くへ遠くへと逃げている。 どうして素直になれないんだろう。 どうして、相手を傷付けてしまうような行動をとってしまうんだろう。 (お姉ちゃんみたいに、いつも穏やかで、優しくいられたらいいのに) 自分より背が低くて、痩せっぽっちの童顔で。 しっかりしているように見えて、時々抜けてて。 姉のくせにしょっちゅう妹に注意されて、反発する事なくそれを受け入れて。 傍目に苛々するくらい、行動は慎重派で。 (…私が一番、お姉ちゃんを知ってるのに…) 再び沸き上がった黒い感情にハッとして、沙那は思わず首を振った。 ふと顔を上げれば、前方に一際強い光を放つ建物が見える。 コンビニだ。 やけ酒、もとい、惜しくも未成年の為“やけジュース”でもあおろうかと、沙那の足はコンビニへと吸い込まれていった。
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