第7話 決戦はバレンタイン

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 ◇◆◇◇  お昼休みになり、やっちゃんの声援を背に四階の製品開発部へと向かった。  だけど、やっちゃんは何も知らない。  わたしが本当は何をしに四階へ行くのか。  紙袋の中に忍ばせた物を確認する。  怖いけど、逃げないって昨日決めたから。  二階には更衣室と総務、組合の事務所があり、三階には営業部。  そして五階には応接室や社長室、役員の部屋があった。  四階はワンフロアが製品開発部になっていて、関係者以外はあまり立ち入らないフロアだ。  廊下とオフィスはガラス窓で仕切られていて、中から廊下が丸見えになっている。  製品開発部は男性の割合が高く、制服姿のわたしは廊下の端をこそこそ歩いているのにも関わらず、浮いていた。 (どうしよう、やっぱり戻ろうかな)  弱気が顔を出した時だ。
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