四章

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恭子の事務所にはあらゆるジャンルに混じり、心理学の本が並ぶ。 『まあ、役にはたってるかな?大学でも受けてたしね』 『そうなんだ…凄いよね』 『そんなんじゃないわよ。例えばさ、相手の答えと同じ言葉をこちらも繰り返すの…どうなると思う?』 『どうって…なに?オウム返しみたいな事?』 『まあ、近いかな?それをね、続けると相手から私に信頼感が生まれるの』 『それでみんなあんなに話しちゃうの?』 『まあ、それだけじゃないけどね』 そんな会話を思い出した。恭子もやはりプロなのだ。 警戒しても仕方がない…諦めて一通り質問に答えた。 「さて…充分かな。加奈子に戻って良いわよ」 「何だか裸になるより恥ずかしいわよ…恭子に洗いざらい喋らされた気分…」 「まあまあ、とにかくこれで記事書けるわよ。誌面割りが決まったら文字数教えてね」 「ねえ、さっき佐久間さん何言ったの?」 恭子がいたずらっぽく笑う。 「大した事じゃないわよ。録音のダビング頼むだってさ」
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