第2話

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「一緒に昼飯でも食おうや」 突然、肩を抱かれた上に、 デートに誘われてしまう。 「お休みの日は、家庭サービスしないんですか?」 どんなに仕事ができて、年齢より、うんと若く見える素敵な男性でも、 忘れちゃいけない、 山岡工場長は 、″ 既婚者 ″ なのだということを。 「だから、平日の休みつってんだろ?」 日曜日と水曜日が定休日の製造工場。 「な、何で私なんかランチに誘うんですか?!」 その貴重な時間を、私との食事に費やすなんてもったない、 本気でそう思うから 「……お前を、 佐藤を、女として意識し始めたからかな」 このひとの、甘さと優しさに 飲み込まれないようにしよう、 そう自分に言い聞かせている。 「どうして、急に?」 そんな山岡工場長の手は、今日は完全に 仕事止めてしまっている。 「お前の 柔らかさも知ってしまったから」
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