251人が本棚に入れています
本棚に追加
/40ページ
「一緒に昼飯でも食おうや」
突然、肩を抱かれた上に、
デートに誘われてしまう。
「お休みの日は、家庭サービスしないんですか?」
どんなに仕事ができて、年齢より、うんと若く見える素敵な男性でも、
忘れちゃいけない、
山岡工場長は 、″ 既婚者 ″ なのだということを。
「だから、平日の休みつってんだろ?」
日曜日と水曜日が定休日の製造工場。
「な、何で私なんかランチに誘うんですか?!」
その貴重な時間を、私との食事に費やすなんてもったない、
本気でそう思うから
「……お前を、
佐藤を、女として意識し始めたからかな」
このひとの、甘さと優しさに
飲み込まれないようにしよう、
そう自分に言い聞かせている。
「どうして、急に?」
そんな山岡工場長の手は、今日は完全に
仕事止めてしまっている。
「お前の
柔らかさも知ってしまったから」
最初のコメントを投稿しよう!