第2話

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「佐藤さん、大丈夫?」 優しい声に起こされて目を覚ますと、 そこは会議室のソファーだった。 パートの古賀島さんが心配そうに覗きこんでいる。 「あっ!今、何時ですか ?!」 そうだ、仕事中に目眩がして それから記憶がどこかへ飛んでいった。 「12時3分だよ」 二時間以上、経過してしまってる。 「……私、鍋ひっくり返しませんでした?」 火を扱っていたのは覚えている。 飾り付けの古賀島さんが、現場を見ていたかなんて分からないけれど、 「みんな、騒いでたけど、大惨事にはなってなかったみたいよ」 「そ、そうですか、よかった!」 また、周りに大迷惑かけていないか心配だった。 「山岡工場長が、佐藤さんを抱えてここまで運んできたのよ」 「…………ひとりで?」 「そう」 それを聞いて カァ!と、また、身体が熱くなってしまった。 「勝手に体温計っちゃったけど、三八度くらい まだあるから、早退して病院行きなさいね」 「はい、ありがとうございます」 そう言って、その部屋を退室する古賀島さんは、五十代くらいなのかな? お母さんと同じくらいかもしれない。
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