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「佐藤さん、大丈夫?」
優しい声に起こされて目を覚ますと、
そこは会議室のソファーだった。
パートの古賀島さんが心配そうに覗きこんでいる。
「あっ!今、何時ですか ?!」
そうだ、仕事中に目眩がして それから記憶がどこかへ飛んでいった。
「12時3分だよ」
二時間以上、経過してしまってる。
「……私、鍋ひっくり返しませんでした?」
火を扱っていたのは覚えている。
飾り付けの古賀島さんが、現場を見ていたかなんて分からないけれど、
「みんな、騒いでたけど、大惨事にはなってなかったみたいよ」
「そ、そうですか、よかった!」
また、周りに大迷惑かけていないか心配だった。
「山岡工場長が、佐藤さんを抱えてここまで運んできたのよ」
「…………ひとりで?」
「そう」
それを聞いて
カァ!と、また、身体が熱くなってしまった。
「勝手に体温計っちゃったけど、三八度くらい まだあるから、早退して病院行きなさいね」
「はい、ありがとうございます」
そう言って、その部屋を退室する古賀島さんは、五十代くらいなのかな?
お母さんと同じくらいかもしれない。
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